マーケティングの対象となる顧客の多様化により、マーケティングの手法も多様化、細分化していく流れが続いています。そのひとつの帰結ともいえるのが、パーソナライゼーションです。
すでに多くの商品やサービスで私たちはパーソナライゼーションの恩恵を受けている部分もあるので、新しい概念でありながらすでに浸透が進んでいるともいえます。
このパーソナライゼーションとはどんな考え方で、どう実践されているのでしょうか。マーケティングの世界でパーソナライゼーションはとても重視されていますが、それはなぜなのでしょうか。パーソナライゼーションがもつメリットや大きな可能性を交えつつ解説します。
目次
パーソナライゼーションとは?
パーソナライゼーションとは、一人ひとりの顧客に合わせて提供する情報やサービスなどをカスタマイズするマーケティング手法です。セグメントごとに分類をして提案するマーケティング手法は以前からありますが、それを一人ひとりにまで細分化するため、究極のセグメント化ともいえます。
Personal(パーソナル)は「個人的な」という意味合いの言葉なので、Personalization(パーソナライゼーション)は「個人に向けて最適化する」といった意味になります。
パーソナライゼーションとカスタマイゼーションの違い
パーソナライゼーションとよく似た概念に、カスタマイゼーションがあります。いずれも顧客一人ひとりのニーズに合わせるという意味では共通しているのですが、「誰が合わせるか」によって違いがあります。
パーソナライゼーションの事例として有名なのがGoogleやYouTubeの検索結果です。ユーザーの検索履歴や視聴履歴を分析してニーズに合うものを優先的に表示するとても便利な機能です。それに対してカスタマイゼーションは自分でレイアウトの配置を変えたり優先順位を調整したりと、ユーザー自身が心地よい形を作ります。
サービス提供側が一人ひとりのニーズに合わせていくのをパーソナライゼーション、ユーザー自身が思い思いに最適化するのをカスタマイゼーションと理解すると、違いをイメージしやすいと思います。
パーソナライゼーションがマーケティングに重要視される理由
パーソナライゼーションがマーケティングにとても重要であることは、マーケターなど現場の方であれば想像できるのではないかと思います。その最大の理由は、顧客の多様化です。今や単一の価値を提供しているだけでは一部の顧客にしかリーチすることはなく、多様化した顧客一人ひとりに最適な提案をするためにはパーソナライゼーションが重要になるわけです。
もうひとつの背景として、顧客の多様化が消費行動の主導権を消費者側にもたらしたことが挙げられます。プロダクトアウトといって「良いものを作れば売れる」という時代は終わり、マーケットイン(顧客のニーズに合わせた商品開発)が主流の時代です。その究極の形が、パーソナライゼーションです。
パーソナライゼーションする事のメリット
マーケティングにパーソナライゼーションを採り入れることによって得られるメリットは、主に3つ考えられます。
- エンゲージメント率の向上
- アップセルの促進
- 潜在ニーズにも「刺さる」可能性がある
いずれも想像しやすいメリットだと思います。マーケティングが目指すのはエンゲージメント率の向上と、アップセルです。この2つの目的を満たすのに有効な手段であるとして、パーソナライゼーションが強く重視されているのです。
パーソナライゼーションで注意すべき点
パーソナライゼーションはとても有効性の高いマーケティング手法ですが、もちろん注意点もあります。2つある注意点について、1つずつ個別に解説します。
個人情報を取り扱う難しさ
パーソナライゼーションを実践するには、一人ひとりの顧客を詳細に理解する必要があります。そのためには個人情報を収集し、蓄積することになります。情報が細分化されるほど漏洩対策などのセキュリティが重要になり、万が一情報漏洩などの不祥事が起きてしまうと重大な損失につながります。
マッチングできないと大ハズシになる
パーソナライゼーションが導入されているサービスを利用していて、自分の好みに合わないものが混ざっていると感じたことはないでしょうか。いかに優れたAIを駆使していても万全とはいえず、中には間違った情報分析に基づく提案をしてしまうこともあります。これが多いと大ハズシになってしまい、サービスそのものに対する信頼感を損ねてしまう恐れがあります。
まとめ
パーソナライゼーションとは何か?カスタマイゼーションとの違いは?という疑問をお持ちの方にとって、当記事の内容は明確な答えになったのではないでしょうか。今や多くのサービスに導入されており、消費者もパーソナライゼーションの恩恵を受けることに慣れているご時世です。パーソナライゼーションの力を活用して顧客の期待に応えて信頼を勝ち取り、効率の良い販促活動にお役立てください。