イノベーターとは?企業が重視すべきイノベーター理論について解説

イノベーターという言葉を聞くと、「革命的な発明をする人」「新しい事業を始める人」というイメージをする方が多いでしょう。しかし、マーケティングにおいては、消費者を指す言葉としてもイノベーターは使われます。

今回の記事では、イノベーターという言葉や理論の使い方について詳しく解説します。

イノベーターには2種類の意味がある

イノベーターという言葉には、製品の開発側に使う場合と消費側に使う場合の2つの意味があります。

ここでは、それぞれの状況においてどのような人を指すのかについて解説します。意味や使い分けを正しく把握しましょう。

【開発側】新しい商品・サービスを開発する人

商品やサービスを開発する側におけるイノベーターとは、今までにない革新的な商品・サービスを生み出す人や新しい事業に乗り出す起業家をさします。社会に影響を与える商品やサービスを生み出したり、世に送り出したりする意味で用いられることもあります。

海外ではiPhoneを開発したスティーブ・ジョブズ、日本ではメルカリやメルペイを開発した山田進太郎氏がイノベーターの例として挙げられます。

【消費側】新しい商品・サービスを採用する人

イノベーターと聞くと、どちらかというと開発側の人間が思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、イノベーションは開発側以外のさまざまな意味も内包します。

なぜなら、新しい市場の開拓や(マーケット・イノベーション)や、新しい組織体系の実現(組織イノベーション)など、消費者側の行動もイノベーションに含まれるためです。

マーケティング用語におけるイノベーターは、新しい商品やサービスをいち早く取り入れる消費者を指します。イノベーターは社会を新しい方向に改革する人物ともいえるでしょう。

イノベーター理論とは|新規市場への普及率を示す理論

イノベーター理論は、マーケティング用語で新しい商品・サービスがどれほど市場で普及しているのかを表す理論です。

イノベーター理論では、消費者を5つのグループに分け、商品・サービスが市場に普及する過程を分析します。5つのグループは製品・サービスの採用者数を縦軸、市場の成長度を横軸としたグラフによって表されます。

この理論は、アメリカのエベレット・M・ロジャースによる1962年の著書『イノベーション普及学』での提唱がはじまりです。

イノベーター理論における5つのパターン

イノベーター理論における5つのパターンは、消費者の行動ごとの分類です。
以下、5つのパターンが指す消費者を簡単に解説します。

  1. イノベーター(革新者):最も早く新しいものを購入する層
  2. アーリーアダプター(初期採用者):流行に敏感で、馴染みがなくてもメリットがあれば購入する層
  3. アーリーマジョリティ(前期追随者)情報感度は高いものの安心感も求めるため、イノベーターよりも慎重に購入する層
  4. レイトマジョリティ(後期追随者):新しい商品に対して消極的で、普及率が高い確証が得られてから購入する層
  5. ラガード(遅滞者):伝統・文化的に主流でなければ購入しない層

それぞれのパターンに属する人数は、最初と最後の段階が少なく中間が多い釣り鐘型のグラフで表されます。

【5つのパターン別】イノベーター理論の活用方法

イノベーター理論を活用するためには、5つのパターンに属する人々の行動を把握する必要があります。ここでは、それぞれのパターンの人々の傾向を具体的に解説し、効果的なマーケティング手法を紹介します。

①イノベーター(革新者)

イノベーター(革新者)は、新しいものを好み、情報感度が高い消費者層です。
この層をターゲットにしたマーケティングでは、「新しさ」の強調が効果的です。市場に普及していない製品や導入のためのコストが高いサービスであっても、ユーザー自身の価値観に合致すれば、ユーザーによる支援が期待できます。

また、イノベーターへのマーケティングには、WebサイトやSNSからの情報発信が高い効果を発揮します。

②アーリーアダプター(初期採用者)

アーリーアダプター(初期採用者)とは、世間の流行を敏感にキャッチし、比較的早い段階から商品やサービスを取り入れる層です。オピニオンリーダーとも呼ばれます。

新しい商品やサービスを取り入れる際、導入によって得られるメリットを重視する傾向があるため、メリットを具体的に伝えられる広告が効果的です。アーリーアダプターへのマーケティングでは、従来のものとの差や、流行する可能性を秘めた価値を打ち出しましょう。

③アーリーマジョリティ(前期追随者)

アーリーマジョリティ(前期追随者)とは、評判がはっきりしない新商品の購入には慎重なものの、流行は早めに取り入れたいと考える層です。

他の消費層に対する影響力が強く、市場全体へ商品・サービスが浸透するための橋渡しとなる層でもあります。

アーリーマジョリティに対するマーケティングでは、商品・サービスの流行や導入によって得られるメリットを打ち出すと効果的です。また、Web広告やSNSなどを用いたマーケティングが高い効果を発揮します。

④レイトマジョリティ(後期追随者)

レイトマジョリティ(後期追随者)とは、商品やサービスを取り入れる際、新しさや流行よりも安全性やメリットの有無を求める層です。フォロワーズとも呼ばれます。評判が分からない新商品に対して懐疑的な傾向があります。

レイトマジョリティへのマーケティングを成功させるには、ある程度の普及率や安全性の立証が必要です。その上で、導入している人が多数派であることを強くアピールすると効果的です。

⑤ラガード(遅滞者)

ラガード(遅滞者)とは、新しいものを取り入れることに抵抗を持ち、伝統・文化に根ざした商品・サービスを求める層です。5つのパターンでは最も保守的な人が位置する層だといえます。

一時的な流行による普及だけでは効果が薄く、長く使われている定番商品であるというアピールが必要です。ラガードへのマーケティングでは、安全に使える商品・サービスであることをデータを用いて強調しましょう。

イノベーター理論を活用してマーケティングを成功させるポイント

マーケティングの基本となるセグメント化や他社との差別化は、イノベーター理論に基づいて行われます。

ここでは、マーケティング成功のために意識すべきイノベーター理論と、意識すべき施策について解説します。

①キャズム理論を理解し乗り越える

キャズムとは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの中間で発生する溝です。

イノベーターとアーリーアダプターは市場開拓において初期市場の位置付けです。市場開拓をするときはキャズムを越えなければ商品が普及しないと考えられており、キャズムを越えるための施策が重要視されます。

②5つのパターンごとに適した施策をする

キャズムを乗り越えて商品・サービスを広く普及させるためには、それぞれの消費者層に対するマーケティング、プロモーションが必要です。

なぜなら、消費者層は、パターンごとに価値観が大きく異なり、すべてのパターンに対して同じマーケティングは通用しないためです。

層の違いによる考え方の違い・効果的な宣伝方法を理解し、新たな層に商品・サービスを普及させるうえで最適なマーケティング方法を考えましょう。

③指標から逆算して施策を打つ

イノベーター理論の5つの層は、次のような割合で存在します。

  • イノベーター(革新者):2.5%
  • アーリーアダプター(初期採用者):13.5%
  • アーリーマジョリティ(前期追随者):34%
  • レイトマジョリティ(後期追随者):34%
  • ラガード(遅滞者):16%

新たな市場の開拓を始めたときは、現状の普及率を確認し、市場に適したプロモーションを打つことが重要です。キャズムを越えるために必要な普及率は、16%が目安だといわれています。

まとめ

イノベーター理論は、マーケティングの成功に欠かせない考え方です。商品やサービスを普及させたいときには、売り込みたい層の特徴について考え、最適なプロモーションを提供することが重要です。

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