広告の手法や購買につながるまでの経路が複雑化する中、アトリビューションが注目されています。従来の方法だけでは広告費の費用対効果を正確に測れないことに課題を感じていた広告出稿者にとって、このアトリビューションにはその課題を劇的に解決できるポテンシャルがあります。
アトリビューションとは何か、アトリビューションが近年注目されている理由、そして具体的に取り組むのにあたって知っておくべき5つのモデルなどについて解説します。
アトリビューションとは?
アトリビューションという英単語を直訳すると、「起因」「帰属」などの意味になります。ここから派生して、マーケティングの世界で使われているアトリビューションは「広告の目的への貢献度」と解釈されています。
どこに出した広告がコンバージョンに貢献したのかが分かれば、今後の広告出稿戦略に役立てることができます。そのためには貢献度を正確に知る必要があり、そのための手法がアトリビューション分析です。
アトリビューションが大切な理由
アトリビューションの目的は、広告費の割り振りを最適化することです。無尽蔵に予算があるのであればその必要はないかもしれませんが、広告費には限りがあります。その限られたリソースでいかにコストパフォーマンスを高められるかを追求するには、最適な広告費の割り振りが必要です。アトリビューション分析の精度を高めることによって1件のコンバージョンにかかった広告費、そしてどの広告が貢献したのかが分かるため、アトリビューション分析を続けることで次第に貢献度の高い広告に絞り込むことができます。
また、アトリビューション分析を行うことによって顧客の行動や趣向などを正確に把握できるようになるため、マーケティング全般にも役立つ情報を収集できます。
アトリビューションの基本となる5つのモデル
アトリビューションには、基本となる5つのモデルがあります。アトリビューションの目的によって貢献度の割り振り方が異なるため、それぞれのモデルを紹介しつつ、特徴について解説します。
①ラストクリックモデル
4段階ある広告のうち、コンバージョンにつながる最後のクリックに全部を割り振るモデルです。従来のコンバージョン分析と同じなので、これだけだとアトリビューション分析をしている意味はあまりありません。
②ファーストクリックモデル
コンバージョンに至る4段階の広告のうち最初の段階である「認知」のプロセスに全部を割り振るモデルです。「認知」のプロセスに高い貢献度を与えるということで、初めて売り出す商品やサービスなどのために、まずは商品やサービスの認知度を向上させたい場合に用いられるモデルです。
③減衰モデル
認知から興味、比較検討、購買という4つの段階において、最初のプロセスから徐々に割り振りを多くして貢献度を高めていくモデルです。コンバージョンに近くなるほど広告の貢献度が高くなるため、慎重かつ確実にコンバージョンを獲得したいと考えているマーケティングにおいて有効です。
④線形モデル
認知から購買に至る4つのプロセスにそれぞれ4分の1ずつ、つまり均等に貢献度を割り振るモデルです。上記までに紹介した3つのモデルと違ってすべてのプロセスが均等になっているため偏りがなく、目的を選ばない全方向型のモデルといえます。時間をかけて購買につなげていくBtoBマーケティングなどに有効です。
⑤接点ベースモデル
4つあるプロセスのうち最初の「認知」と最後の「購買」に40%ずつ割り振って残りの10%ずつを興味と比較検討に割り振るモデルです。「接点ベース」となっているように途中の購買意欲を高めていくプロセスよりも最初と最後の接点を重視するところが特徴です。
アトリビューション分析が向かないケース
アトリビューション分析を活用するマーケティングは、全体的に時間をかけてじっくりと売り込んでいく商品やサービスに向いています。なぜなら、顧客もじっくりと考えて比較検討する傾向があるからです。逆にどこで買っても同じ、何を選んでもそれほど差がないような商品についてはアトリビューション分析の必要があまりなく、適していないといえます。
まとめ
広告出稿の費用対効果をより正確に計測し、それを次なる広告戦略にいかしていくのがアトリビューションの基本的な考え方です。
限られた広告費の中で高いパフォーマンスを目指すには欠かせない概念なので、ぜひ5つのモデルからその概念や考え方をマスターしていただき、自社のマーケティングにはどれが適しているかを検討することから始めてみてはいかがでしょうか。