マーケティングとブランディング。どちらも販促活動や売り上げアップのための手法であることは何となくイメージできても、この両者はどう違って、どう使い分けるのかと尋ねられたら正確に答えられる方は意外に少ないのではないでしょうか?
今回は、マーケティングとブランディングの違いをはっきりさせて、両者の違いを正確にできるようそれぞれの概要と役割について解説します。
マーケティングとは
マーケティングは、端的に言えば「市場を知り、市場のニーズに応える」作業といえます。
今どんなものが求められているのかを市場調査などを活用して把握し、それを商品開発に役立てます。マーケティングのスタート地点は市場のニーズを知ることなので、開発された商品やサービスをどのように宣伝して認知してもらうかといった活動にも一貫した戦略が反映されます。
マーケティングの役割
マーケティング=Marketingは、マーケットを作ることといった意味合いの言葉です。
市場を作るというのは、これまでその商品の顧客が具体的にイメージされていなかったところに具体的なイメージやニーズを創りだして、そこに関心を持った人を顧客としていきます。
そのためには市場を知る必要があるため、マーケティングではさまざまな調査活動が含まれています。
この部分で収集した情報や分析が間違っていると以後の販促活動全体にも誤差が生じてしまうので、「市場を知る」というのはマーケティングに与えられたとても重要な役割です。
ブランディングとは
次にブランディングは、企業やその企業の商品やサービスに対するイメージを高めて、質の高いものであると認知してもらうための活動です。
ブランド価値を創りだすという意味合いから、Brand+ingでBranding=ブランディングです。
最近では企業や商品のテレビCMなどで、その商品のメリットを訴求するのではなくイメージを訴求するCMが多くなっていることにお気づきの方は多いと思いますが、これはブランディング戦略の一環です。
例えばアップルがiPhoneの新型を宣伝する場合であっても「新機能〇〇搭載!」などとは訴求しません。あくまでも新型のiPhoneがある生活や楽しさをさりげなく訴求することによって、ブランド価値を高めようとしています。これもブランディングの戦略にのっとった販促活動といえるでしょう。
ブランディングの役割
ブランディングがもつ最大の役割は、その商品やサービスのイメージを高めることです。
ただし、単に「良さそう」と思わせるだけがブランディングではありません。アパレルブランドや高級ブランドなどであれば、そのブランドそのものの価値を高める戦略が有効ですが、先ほどのiPhoneの場合だとiPhoneは持っているだけでステータスシンボルになるものではなく、「使ってナンボ」の商品です。つまり、iPhoneがある生活の価値も訴求する必要があるわけです。
この場合、iPhoneそのものの価値は商品提供価値といいます。
そしてiPhoneのある生活や楽しさはコンテンツ提供価値といいます。これらが両方揃っていることでiPhoneの新型を購入するとこんな生活が手に入る、というストーリーが出来上がります。カメラの性能が高くなったといった断片的なことではなく、自分が使わない機能も含めて新型のiPhoneには「自分を幸せにする価値がある」と思ってもらうことがブランディングの本質です。
マーケティングとブランディングの違い
上記の解説をお読みになると、マーケティングとブランディングの違いについて何となく理解していただけたと思います。
マーケティングは売れる仕組みを作る作業で、ブランディングはマーケティングを成功に導くための作業です。広義では、ブランディングはマーケティング戦略の一部であるともいえるでしょう。マーケティングから導かれた販促戦略では商品やサービスに持たせるべきイメージも導き出されます。それを具現化するのが、ブランディングです。
まとめ
今回はマーケティングとブランディングについて、それぞれの役割と両者の違いについて解説しました。すでにお分かりかと思いますが、マーケティングとブランディングはどちらが欠けても万全とはいえず、両者が同じ戦略上にあって効果を発揮してこそ販促活動は成功します。
例え話にiPhoneを用いたためBtoCのマス的なマーケティングのための手法だと思われるかもしれませんが、マーケティングとブランディングはBtoBの営業活動においても同様に重要です。