消費者のニーズが多様化するのに合わせて、マーケティングの手法も多様化、高度化しています。その一環で近年注目を集めているのが、ニューロマーケティングです。
ニューロマーケティングを一言で表現すると「脳科学を応用したマーケティング手法」です。人間は脳で感じ、脳で考えて行動を起こす生き物なので、その脳に訴えかけるマーケティング手法としてニューロマーケティングを採用する企業が増えています。
このニューロマーケティングについての基礎知識と、これから学びたい方におすすめの書籍5選をお届けします。
ニューロマーケティングとは?
冒頭でも述べたように、ニューロマーケティングとは脳科学の知識を応用したマーケティング手法です。人間が無意識のうちに起こす行動、思考パターンなどを脳科学で分析し、それに基づいた価値を提供して売り上げにつなげていく考え方です。特に他のマーケティング手法との違いで際立っているのは、無意識のうちに起きる感情も分析し、言語化できない意識を行動につなげていくことを目指している点です。
人間は脳で考えて行動を起こす生き物であることを踏まえて、その脳に直接訴えかけることで最も伝わる販促が可能になる、というわけです。マーケターは常に消費者の本音を知りたがっているわけですが、ニューロマーケティングにはそれを実現できる可能性があります。
ニューロマーケティングが注目される理由
ニューロマーケティング自体に対する願望は、以前からありました。言語化された感情や行動を分析するのではなく、その前の段階で発生している「生まれたばかりの感情」を知ることができれば、もっと人々が求めているものにリーチできるのではないかと考えられてこられたわけですが、そのひとつの結論がニューロマーケティングです。
言語化される前の感情を言語化する、つまりマーケターが言葉になる前の感情を把握することができるのは、とても画期的なことです。なぜなら、言語化される前の感情には「不純物」がなく、人の本音しか含まれていないからです。言語化される前の感情を知ることができれば、そのあとで言語化された感情との差異を知ることもできます。この感情の変化も、マーケターにとっては商品開発や販促戦略に役立つ貴重な情報です。
ニューロマーケティングが学べる書籍5選
当記事ではニューロマーケティングの概要や概念しか解説できませんが、さらに深くニューロマーケティングを学びたい方のためにおすすめの書籍5選を紹介します。
買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界
2,000人を対象にした脳波測定プロジェクトから得られた消費者の「本心」に迫るニューロマーケティングの入門書です。11歳当時に新聞に掲載した広告が反響を呼ぶなど幼少期からマーケティングの才能を発揮してきた著者がニューロマーケティングに着目し、実践するための方法論を説いています。
ニューロマーケティング入門
年齢や性別、職業といった外見上の属性ではマーケティングの成果が上がらないと断言し、その代わりに必要なのは脳の容量、気質、快感、視覚であるというのが著者の主張です。これはまさにニューロマーケティングの原点ともいえる考え方で、なぜ脳にアプローチする必要があるのかという気付きを与えてくれます。
ヒット商品を生むニューロマーケティング戦略ー脳科学的視点から見る購買意思決定プロセスー
脳科学の知識に寄ってしまいがちなニューロマーケティング本の中でもそれを消費者の購買意思決定にどんな影響を及ぼすのか、どうすれば消費者にリーチするのかを客観的に紐解きます。
心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press
従来の属性分類によるマーケティングではなく、人間の意識を構成する心、脳、体、社会を統合するのがニューロマーケティングで、これが新しいパラダイムであると説きます。あまりにも従来のマーケティング手法とは異なるため、それにいかに備えるかの示唆に富んだ一冊です。
マーケターの知らない「95%」 消費者の「買いたい! 」を作り出す実践脳科学
消費者のことをよく知っていると自認するマーケターであっても、実は消費者を理解していないかもしれません。マーケターが本当に知るべき消費者の95%とは何か?その答えを脳とのコミュニケーション、つまりニューロマーケティングに求めます。
まとめ
ニューロマーケティングは今後広がりを見せる可能性が高く、現段階で知っておくべき概念と本格的に学びたい方のためにおすすめの書籍を5冊紹介しました。ついにマーケティングは脳の領域に達したことを感じさせる良書揃いなので、ぜひこの機会に手に取ってみてください。