時代の変化は、顧客の購買行動にも変化をもたらします。
以前であれば通用していたマーケティングが通用しなくなっているとお感じの方がいるとしたら、それは顧客の購買行動が変化していることに気づけていない、ついていけていないのかもしれません。
顧客の購買行動モデルは、ほぼ10年サイクルで大きく変化してきた歴史があります。詳しくは後述しますが、その変化にはインターネットやスマートフォンの普及が大きく関わっており、その変化を見極めることが売れる販促戦略には欠かせません。
今回は、変化を続けてきた顧客の購買行動モデルについて大きな変革があった3つの時代に分類してそれぞれの特徴を解説したいと思います。
購買行動モデルとは?
主に一般消費者が商品やサービスを選ぶ際に何を重視して、どう行動するのかといった一連の流れをモデル化したものです。このモデルを理解することによって消費者心理をつかみ、売れる商品づくりができます。しかし、この個賠行動モデルは常に一定ではなく、これまでに何度も大きな変化を繰り返してきました。そしてその変化は、これからも続くことでしょう。
マスメディア時代(~2000年頃)
購買行動モデルの分析がなされるようになった黎明期は、マスメディアの時代でした。
マスメディアとはテレビやラジオ、新聞、雑誌といったように多くの人が同じものを見聞きするメディアのことです。2000年までの時代はネットが一般に普及していなかったため、一般消費者の情報源はマスメディアでした。
そこでテレビCMや新聞広告など、マスメディアに広告を出稿するのが最も有効な手段とされ、この時代には多くの大ヒット商品がマスメディア広告から誕生しました。
この時代のマーケティングを象徴する言葉が、AIDMAでしょう。このAIDMAは以下の頭文字を取ったものです。
- Attention(広告を見て商品、サービスを知る)
- Interest(商品に興味をもつ)
- Desire(その商品を欲しいと感じる)
- Memory(その商品を記憶する)
- Action(商品を購入する)
今の販促戦略は、このAIDMAでは通用しません。なぜなら、多くの人がマスメディアだけを見ているわけではなく、さまざまなメディアから自分で情報を得ているからです。
次のインターネット検索時代は、そんなネット時代の幕開けです。
インターネット検索時代(2000年代)
2000年以降は、購買行動モデルにネットが登場します。
マスメディアと違って一方的に流れてくる情報を見聞きするだけでなく、自ら能動的に情報を探し、膨大な情報から自分に必要な情報を取捨選択する時代になりました。
そのためマスメディアに広告を出すだけでは消費者心理をつかめるとはいえず、ネットを活用した販促戦略が注目されるようになったのも、この時代からです。
2000年からは、消費者の目が肥えてごまかしが効かない時代になったともいえます。消費者が満足しなければネットに悪い評価を書き込まれる可能性もあり、販売側の都合が良い情報だけでなく、あらゆる角度からの情報が拡散することを意識しなければなくなりました。
この時代のマーケティングではAISASという概念が登場します。そのAISASは、以下の頭文字から生まれました。
- Attention(広告を見て商品、サービスを知る)
- Interest(商品に興味をもつ)
- Search(興味がある商品についてネットで検索して情報を探す)
- Action(ネットで検索した情報にも納得して商品を購入する)
- Share(購入した商品についてネットに情報を発信する)
AとI、AについてはAIDMAと同じですが、この時代になるとネット検索とネットでの情報発信がポイントになります。
コンテンツマーケティング時代(2010~年頃)
さらに時代は進み、スマホが普及することによっていつでもどこでも情報に触れることができる端末を誰もが持ち歩く時代になりました。
スマホの普及は同時にSNSの爆発的な拡大にもつながっているので、2010年以降はSNSによって拡散される情報が注目を集めることが「バズる」と表現され、マスメディアが恣意的に拡散している情報よりも影響力を持つようになります。
そこで登場したのが、コンテンツマーケティングという手法です。
直接的な広告をネット上に掲載するのではなく、その商品に関連するキーワードについて検索者が知りたいと思っている情報を提供し、まずは消費者のニーズに応えることで信頼を獲得し、購買につなげていくという手法です。
2010年以降のネット販促はこのコンテンツマーケティングが主流になっており、顧客の購買行動モデルの変化にしっかりと寄り添ったものであるといえます。
まとめ
顧客の購買行動モデルと一口に言っても、その中身は時代によって大きく異なることがお分かりいただけたと思います。
この変化は今後も続くので、その変化をしっかりと見極めながらその時代にふさわしいアプローチで商品やサービスを訴求していくのが、「売れる営業」の基本です。